今、世の中を取り巻く住の問題(シックハウス、エネルギー問題、小子高齢化、環境破壊、自然災害、職人の伝承等々)はさまざまです。行政には頼れません。自分たちの身は、自分たちで守らなければいけない時代です。
そうはいっても、どうすればいいの?という方が大半だと思います。
そこで私たちの役目が生まれます。
今までの、利己的にただ家をつくって売ればよい、という考えではただの作業にすぎません。
その作業も必要ですが、やはり私たちは消費者の方々が安心して住めるように努力する責任と使命を負って、この仕事をさせていただいているのだと考えます。そして、その見返りに報酬をいただいているのだと。
それが、今まで助けていただいたお客様へのご恩返しであり、キムラ工房が存在する意味でもあるのだと感じています。
キムラ工房の家づくりの原点は、まず家具=人間の体に直接触れるものにあります。次に室内=プライベートなスペースを手掛けました。一つ一つの箱=空間が集まり、家族の安らぎの場である家ができます。さらに、その家がいくつか集まると集落ができ、集落がいくつか集まると町や村ができる。
当たり前のことではありますが、自然を除いて、すべて人の手によってつくり上げられた人工物です。つくり手によって、良いものにも、そうでないものにも化けてしまいます。
人が主で「住む」という文字になります。
良い住まいをつくることが私たちの使命であり、常にそれに向けて努力することが地域社会への貢献であると私たちは考えます。
私が27歳で始めたキムラ工房(旧称:きむら木工房)も、今年で20年目を迎えます。
これも、お客さまあってのことで、皆さまに助けていただきながらの20年でした。
「おかげさまで」と言いますが、あらためてその言葉の意味をかみしめて感謝しております。
この道に入ったそもそものきっかけは、大学卒業後、就職する気になれず、たまたま始めた木工屋での家具づくりのアルバイトです。木工のおもしろさに引かれ、そのまま家具職人になりましたが、家具に始まり、家や店舗の内装を手掛けるうちに、どうしても家そのものをつくりたくなりました。
良い縁があって、ある大工の親方の元で修行させてもらいました。
独立した時、会社に「きむら木工房」と名づけました。工務店らしからぬ「木工房」の名に、「手づくりの木の家をつくる」との思いを込めました。
キムラ工房相談役 木村浩昭八ヶ岳に来たわけ
2011年3月